【電子書籍なら、スマホ・パソコンの無料アプリで今すぐ読める！】＜p＞小学館ノンフィクション大賞紛糾の問題作！＜/p＞ ＜p＞2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。＜/p＞ ＜p＞「女になった」と言わない理由は、この選択が女性になるためじゃなく、自分になるためのものだったから。だから私は、豊胸も造膣もしないことを選んだ。＜/p＞ ＜p＞「性同一性障害」という言葉が浸透して、「性はグラデーション。この世は単純に男と女には分けられない」と多くの人が理解する時代にはなったかもしれない。けれども私は自分の性別を、男にも、女にも、二つのグラデーションの中にも見つけることができなかった。＜/p＞ ＜p＞男であれず、女になれない。＜/p＞ ＜p＞セクシャリティが原因でイジメにあったことはない。事実はその逆でみんな優しかった。でも、男子クラスになったことを機会に私は高校を中退した。＜br /＞ 女性を愛する男性に命がけの恋をして、葛藤し、苦悩して、半死半生の状態に陥ったこともあった。ひたすらに自己否定を繰り返したりもしたけれど、周囲の誰もが私を一生懸命に支えてくれた。＜br /＞ そして社会人である今、多くの人が愛情と親しみを込めて私を「しんぺいちゃん...